科学技術政策シンポジウムブログ「語る:戦後六〇年と憲法・科学者と9条」(毎日新聞2005年5月5日付)の記事より
全国の科学者が『九条科学者の会』を立ち上げた。メンバーの一人、世界的な理論物理学者 益川さんの話
「名古屋市中心部、鶴舞の生まれ。生家は米軍の焼夷(しょうい)弾の直撃を受けた。不発だったため、焼失は免れたが、焼け野原の中、リヤカーにわずかな家財を積んで逃げる両親の姿が忘れられない。
あんな思いを、子や孫の世代にさせたくない。すごく単純な気持ちだ。戦争は大嫌い。尼崎の電車事故のニュースを見て、皆泣くでしょう。多くの人の死がそこにある。同じことが、米軍が爆撃した街で起きている。たくさんの人が殺されている。僕は人間の名において、そんなことは出来ない。
アインシュタインは、核兵器で人類が滅亡する恐怖から、平和活動をした。僕はもう少し身近に、地球で生きている人間ひとりずつの、今の生活を守るために、戦争はプラスですか、という問いかけを世の中にしたい。 『九条科学者の会』は、科学者の集まりだけど、基本は市民として「戦争をしたいですか?」という問いが出発点だ。その後、行動を起こす時には、科学者の経験や知識を生かすべきだが、それは他の職業の人も同じ。すべての市民が、それぞれの立場で戦争はやめようと言うことが必要だと思う。」
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